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夫の修行期間が終わると同時に、私達の結婚が決まり、
初めて夫の生家である蔵へ入った時
薄暗く静まり返った蔵の中に響く、モロミのプチプチという音の中で
私はこれから自分の肩にかかってくるであろう重圧をヒシヒシと感じました。
私にとって蔵で初めて迎える冬、
初めて見る蒸し米や、麹、モロミ。
そこには、『夏子の酒』の世界が私の日常として当たり前に存在していました。
私が初めて『夏子の酒』を読んだ時は、
難しくて半分は分からないまま読んでいました。
夫の願いも届かず?日本酒の事はさておき、
夏子と草壁がどうなっていくのかそればかりが気になってたり(笑
結婚して、自分が蔵へ入ってからは、今度は逆に辛くて読めませんでした。
蔵元へ嫁いできた事を後悔ばかりしていて、日本酒から背を背けていた
私だったので・・・
そして、今、こういう形で少しずつ蔵と日本酒を受け入れる事ができるようになって、
改めて読んだ『夏子の酒』。
以前、夫が私に読んでほしいと言った気持ちがすごく分かりました。
米、麹、もろみ・・・そういった言葉がごく自然に自分の中に入ってきます。
造りの段階なども、目の当たりにしていると、
「そうそう、分かる分かる・・・」
っと言った感じでマンガを読んでいてもリアルに絵が浮かびます。
例えて言うと、夏子と草壁が作業しながら話しているシーンがあるのですが、
その作業が何をしているのか説明書きのないシーンをみて
「あぁ、汲みかけを二人でしてるんだなぁ〜」
なんて考えながらいる自分に自分で気がついて驚いたり。
また、印象に残ったのは
「日本酒は、その味を、良さを、知らなすぎる人々によって支えられている。」
と言うところです。
味も分からずに、置く酒販店。安くて酔えさえすればいいやで買う消費者。
いい酒を造っていても、大きく広告を掲げている大手メーカーの安酒に
負けてしまう悔しさ。
もちろん、こだわりがあり、自分の足で良酒を探し、親身になって
蔵元を盛り立ててくれる酒販店さん、消費者の方も沢山知っています。
そういう方々に励まされ、喜んでほしいと願ってお酒造りに携わっているわけで。
あぁ、私はいつの間に、こんなにこの蔵に染まってしまっていたのでしょう・・・笑
目の前で、一生懸命日本酒を造り、お酒の事となると、熱く語りだす夫に
いつの間にか影響されてしまっているのかもしれません。
ここにいるのなら、蔵元の嫁としての自分の人生を、意味あるものにしたい。
ただ流されて、蔵元へいても日本酒の事を何も知らず過ごすのではなく、
どっぷりはまってみるのもいいかもしれません(笑
息子が生まれ、夜鳴きをするとおぶって蔵の中を歩いたりもしました。
歩くようになった息子が、蔵の中を危なっかしい足取りで歩いたり、
自転車に乗れるようになると、自転車で走り回って怒られたりもしました。
小学生になった息子は、今、父親についてお酒造りの手伝いをします。
強要されるわけでもなく、自然と酒造りと言うものを自分の生活の一部として
受け入れています。
こうして跡継ぎは育っていくのだろうと目を細めて見守っている毎日です。
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