酒造好適米 |
お酒を造るのに適したお米をいいます。
飯米と違うのは粒が大きく、心白の部分が多い=デンプンが豊富。
五百万石・山田錦・雄町など。 |
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精米 |
酒造好適米の玄米の雑味の部分を削り、中心部分の旨みの部分(心白)だけを残す作業。(蛋白質・ミネラル・脂肪・ビタミンなどの栄養素は麹カビや酵母の生育バランスを壊す原因となると同時に、酒の香味や色調を劣化させる原因となります) |
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精米歩合 |
精米して残ったお米の%(大きさ)を示します。
精米歩合40%とした場合、玄米の6割を削って、残りの中心部分にある旨みの4割を残す。
精米歩合40%のお酒とは、お米を削って削って芯の部分だけで造られた酒という事になります。
精米歩合が小さい程雑味の少ない綺麗な酒が出来ますが、お米を削る=コストかかる=高価なお酒になるという図式もできます(笑
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精白歩合 |
精米歩合とは逆の意味をもち、お米を削った割合(%)を示します。
精白歩合40%とした場合、玄米の4割を削って、残りの6割で仕込んだ酒という事になります。
精白歩合40%のお酒=精米歩合60%のお酒です。
一般的には、精白歩合ではなく、精米歩合で表記されているお酒が多いです。
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洗米 |
精米した白米の表面には糠が付いており、蒸した時のべたつきの原因になる。これを取り除く作業が洗米。
現在は特殊な渦巻きポンプによって米と水を混合タンク内で攪拌して洗米し、そのまま米を移動できる電動タイプの洗米機が主流ですが、昔は手洗いと足洗いだった。 |
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浸漬 |
洗米した白米を水に漬けて吸水させる事。
洗米を終えた白米はただちに浸漬タンク(漬桶)に移して浸漬し、水を抜いて水切りをする。
浸漬の目的は、米粒の中心部にまで十分に水を吸収させる事によって、蒸した時にα化が完全に行われるようにする事。 |
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蒸きょう |
浸漬・水切りの終わった白米は、蒸し器(甑コシキ)に入れて蒸す。この工程を「蒸し」あるいは「蒸きょう」(じょうきょう)といいます。蒸した米は「じょうまい」「むしまい」と呼びます。 |
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製麹・せいきく |
蒸米に種麹(麹菌)を散布して麹を造ることを製麹(せいきく)と言います。現在の麹造りは機械化されているが、昔は「蓋麹法」と呼ばれる製麹法で行われていた。この方法は現在でも、吟醸酒など高級酒用の麹造りに多く用いられています。
蓋麹法の手順は下記の通り
@引き込み |
34〜40℃程度に冷やした蒸米を、麹室に運び込むこと。布を掛けて2〜3時間ほどおき、蒸米の温度と水分を均一にする。
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A床もみ |
蒸米を薄く広げて種麹(麹菌)を振り掛け、麹カビの胞子が均一に付着するようによく混ぜる。この作業の終わった時の蒸米の温度を「もみ上げ温度」というが、以後の麹カビの増殖速度はこの温度によって支配されます。 |
B切り返し |
10〜12時間程たつと、米粒の表面が乾いて、塊状になってくる。そこで、全体をかき混ぜてばらばらにほぐして、蒸米の温度と水分を均一にします。 |
C盛り |
胞子を接種してから20時間ほどたつと、麹カビの活動が盛んになり、蒸米の温度が上昇してきます(32〜34℃)この温度を調節する為「麹蓋」と呼ばれる平たい杉の箱に小分けにして広げ、6〜8枚ずつ積み重ねて布で覆う。 |
D仲仕事 |
盛りの後6〜8時間たつと、麹カビの増殖が進んで蒸米の温度が34〜36℃に上昇してくるので、かき混ぜて温度調節を行う。手入れ後は蒸米を広げておく。
麹カビへの酸素の供給も兼ねています。 |
E仕舞仕事 |
仲仕事の後、6〜8時間たつと、蒸米の温度は37〜40℃に上昇する。そこで、もう一度かき混ぜて温度を少し下げ、余分な水分の蒸発も促します。 |
F積み替え |
積み重ねた麹蓋の上下を入れ替えて、温度の均一化を図る。 |
G出麹 |
麹を麹室(むろ)から出して放冷し、繁殖を止める事。出麹のタイミングは麹の用途によって違い、一般に、掛麹は仕舞仕事の約8時間後、酒母麹は約12時間後。床もみから出麹までの全製麹時間は掛麹で43〜45時間、酒母麹で48〜50時間ほどが目安になっています。 |
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モト・酒母 |
麹に蒸米と水を酵母を加えると「モト(酒母)」になる
日本酒のアルコール(エチルアルコール)は、酵母という微生物の働きによって生成されます。その酵母を、蒸米と麹、水の混合物の中で大量かつ、純粋に培養したものが酒母(もと)です。 |
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打瀬 |
酒母の仕込み後、暖気または、行火なによって加温を始めるまでの期間をいう。
この期間に品温の降下をはかります。 |
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湧付き休み |
酒母は、湧付き後、発酵熱によって自力で品温が上昇する為、加温操作を必要としなくなります。これを湧付き休みといい、この期間には最高温度をとることが多い。 |
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もと分け |
酒母中に酵母が十分に増殖した頃になると、アルコール分が8〜10%となり、酸量も多くなるので、そのまま高温におくと酵母の衰弱・死滅を招く事になる。そこで品温を下げるために、半切桶数枚に分ける事をいう。
しかし、最近では、酒母タンクのまま氷などで温度を下げる方法が一般的で、これを丸冷ましといいます。 |
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水麹 |
酒母の仕込みの時は、水と麹を混入する作業。添えの時は、酒母と水と麹を混入する作業。仲の時は、添の物料と水と麹を混入する作業、留めの時は、仲の物料と、水と麹を混入する作業をいう。 |
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枯らし |
精米からモロミの仕込までの工程でできた中間生成物が次の工程で使用されるまで、長期間放置された状況をいい、この期間を枯らしといいます。枯らしによって品温は環境温度近くまで下がります。 |
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仕込み |
水麹に蒸米を混入し、予定温度にする作業
@初添え
(添え仕込み)
1日目 |
タンクに酒母と水と麹を入れて水麹を造った後、蒸米をいれる作業。
仕込み後の容量は酒母の三倍程度になる。
酒母中の酵母の活性を呼び戻す為、仕込み温度は12〜13℃とやや高い。 |
A踊り
2日目 |
一日仕込みを休む。
一日お休みをする事によって、酵母を十分に増殖させて、モロミ中の酵母を元気にさせます。 |
B仲添
(仲仕込み)
3日目 |
初添の物料に水と麹を加えて水麹をつくり、さらに蒸米を入れる作業。
仕込み後の容量は酒母の約7倍になり、仕込み温度は9〜10℃とする。 |
C留添
(留仕込み)
4日目
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仲添の物料に水と麹を加えて水麹をつくり、さらに蒸米を入れる作業。
仕込み温度を7〜8℃とさらに低くし、容量は酒母の約14倍となる。 |
以上が標準的な「三段仕込み」ですが、このように仕込が進むにしたがって温度を下げていくのは、容量の増加によって物料中の乳酸濃度が低下して雑菌に汚染されやすくなるため、温度を高めて安全性を高めているのです。 |
四段仕込み |
甘口の酒を造る場合に、三段に仕込んだモロミの末期にもう一度仕込む方法。
仕込む原料は、蒸米、甘酒、酒粕、糖化酵素剤などがあるが、近年は酵素の利用が一般的になっています。 |
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モロミの状貌 |
糖化と発酵が進むにつれて表面の泡の状態が変化する事。下記はその種類。
筋泡 |
留添後、2〜3日目に現われる泡で、2〜3本から、数本の筋状になっている。酵母が活発な発酵を開始したことを示しています。 |
水泡 |
3〜4日目に現われる白くて軽い泡で、モロミ表面全体に広がる。
水泡の初期には蟹の吹き出す泡によく似た泡が現われるが、この泡を「かに泡」といって区別することもある。
この時期のモロミは、若い果実のような匂いと、淡白な甘みがあり、酸味やアルコール臭はない。 |
岩泡 |
水泡を過ぎると、泡は粘ばり気を増し、表面が岩肌のようになります。モロミには甘みと旨みが出てくる。 |
高泡 |
岩泡からさらに泡が高くなった状態で「本泡」ともいいます。キメの細かい泡で、粘り気も強く、消えにくい泡で、5〜7日持続します。
モロミ中での糖化、発酵が盛んな時期で、果実の様な香りと、アルコール、炭酸ガスによるツンとした匂いが強い。この泡には多量の酵母が含まれているので、こぼさない様に細心の注意が必要です。 |
落泡 |
粘っていた高泡が大粒で軽い泡になり、次第に低くなって落ち込んでいく時期。
通常アルコール分は12〜13%程度になっています。 |
玉泡 |
高泡が落ちた後に残るシャボン玉状の泡。次第に小さくなる。落泡から玉泡の期間が、発酵の最盛期でもあります。 |
地 |
玉泡が消えて、モロミの表面が見える状態になったことをいう。地の状貌には色々あり、表面にまったく泡がない場合は「坊主」、薄い泡が広がっている場合は「ちりめん泡」または「薄皮」、米粒の滓が粒状のまま浮かんでいる場合は「飯蓋」などと呼びます。 |
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槽
フネ |
昔ながらの槽=船の形をした、お酒を搾る道具。槽の中に酒袋に入れたモロミを積み重ねお酒を搾る。
薮田(ヤブタ)式槽=自動酒搾り機(自動モロミ圧縮機)。左右からプレスしてお酒を搾る。 |
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麹 |
蒸米と麹菌が混ざり合って「麹」になる。 |
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醪
モロミ |
モトにさらに蒸し米と麹と水が加えられ「醪(モロミ)」となる。
醪を搾ると「日本酒」になる。 |
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上槽 |
お酒を搾る事。
モロミを酒袋に入れて槽で搾ったり、自動モロミ圧縮機により酒粕と清酒に分けること。 |
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滓
オリ |
搾りたてのお酒は時間だ経つと二層に分かれる。上の澄んだ部分は清酒。下の白く濁った部分が、デンプンや不溶性のたんぱく質む滓。=滓酒と呼ばれる部分。 |
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滓引き |
上記のように滓は栄養素を含んでいる為、腐敗しやすい。酒質を変化させない為に、滓を取り除く作業を滓引きという。 |
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濾過 |
滓引きをした清酒には、まだ、微細な粒子が浮遊しているので、濾過機によって活性炭素を通し、滓と酵母を取り除きさらに清澄すること。酒の腐敗を防ぐための作業。 |
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調合 |
モロミ一本毎の品質は、どうしても異なる為、各仕込み毎の清酒を合併して酒質を一定にすること。 |
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火入れ |
60〜65℃に加熱して殺菌する低温殺菌方法。多くは熱湯に入れたホースの中にお酒を通す。火入れは防腐剤を使わない、クリーンな防腐対策。
殺菌以外にも、酵素の破壊による酒質の安定化、香味の調熟などにも重要な働きをします。 |
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火落菌 |
(ヒオチキン)酒を腐らせる乳酸菌の一種。 |
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貯蔵 |
出荷までタンクで貯蔵し、この期間中に熟成がおこり、新酒の荒々しい香味が消えて丸くおだやかな香味になります。 |
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呑切り |
貯蔵中の清酒を少量採取して、火落ちの有無、熟成の程度などを調べる事。 |
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割水 |
原酒に水を加えて市販規格のアルコール分におとすこと。加水と同意語。 |
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