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目次 夏子の酒・奈津の蔵

尾瀬あきらさん公式HP


はじめに 夏子の酒 奈津の蔵 頂き物 尾瀬先生エッセイ 色々な想い*掲示板
尾瀬先生エッセイ

色々な想い*掲示板の中で突然始まった
尾瀬先生によるここだけのオリジナルエッセイをまとめてみました。
(掲示板はいつデータが飛ぶか不安なので・・・汗)

夏子秘話  投稿者: 尾瀬あきら  投稿日: 4月15日(金)00時59分14秒
連載エッセイその5 こだわる人たち
若葉さん、ホームページのリニューアルおめでとう!マウスを乱暴に動かして花がカーソルにくっついてくるのを楽しんでます。しかも私のこのテキトーエッセイをひとつにまとめてくれて、 いやあ、照れます。
さて、「夏子の酒」の連載を開始して、最初にもらった読者からの手紙は室蘭の酒屋さんの奥様だった。
「店に来られるお客様に純米酒とか本醸造といった日本酒の言葉を、説明してもなかなかうまく伝えられませんでした。でもこの漫画を読んでもらうととてもよく理解してくれます。」といった内容だった。旦那様と一緒になんとか日本酒の素晴らしさを伝えようとがんばっている様子が感じられた。何通かのやり取りの後、室蘭で酒の会を開くので来ないかとのお誘いを受けた。酒の会はその後、無数に出席するようになる私だが、その室蘭での小さな会がはじめての経験だった。しかし今まで出席した会の中で、もっともインパクトのあった、忘れられない会となった。
出席者は30人ほどだったが、そこで行なわれたイベントは、題して「越後VS筑後」。
新潟の有名な銘柄3本と、主催者が見出した福岡の酒3本をブラインドして順位を投票で決めるという過激なものだった。結果は主催者が大喜びするものとなったが、その席でお会いしたのが、先のエッセイに書いた酒造界の重鎮、上原浩先生、そして筑後の蔵元、さらに日本酒評論家と称するMさん。
それまで私は、日本酒にこだわりや愛情を持っている蔵元や酒販店がたくさんいるということは認識していたが、この会の主催者のSさんや蔵元に出会って、酒の世界には、愛情やこだわりを飛びぬけた、ほとんど狂気に近いのめりこみをしている人間がいるということを知った。その会での出会いがなかったら、「夏子の酒」は、もう少しちがった内容になっていたかもしれない。
それまでの高収入の仕事をいきなりやめて、蔵に入って酒造りの修行を始めた人。
冬には必ず蔵で酒造りを手伝う酒屋。数え切れないほどの蔵めぐりをしている酒屋。
会社の実験室でみずから日本酒をつくる人。4畳半の部屋に業務用の巨大な冷蔵庫を置き、新酒を1年分買い込む人。部屋は1年中寒いとか。酒造りを知るには米作りからと、農家に半年研修する女性。そういえば「夏子の酒」を読んで亀の尾の栽培をはじめたという蔵元もいたっけ。(この若葉さんのサイトに集まる人のなかにもいそうだが)
こういうあきれた・・・いや魅力的な人たちの存在に私はとても影響された気がする。
ただ飲んで「う〜む、いい酒」とうなっているだけの私などはかわいいもんだ。
いや、そうでもない。日本酒の入門書を2冊も書いたし、ひたすら飲んでズボンを何着もはけなくしたし、けっこうこの身をブタにして、豚骨砕身でがんばってきた(笑)。
今一番関心のあるものは、ネット通販の、おびただしいシェイプアップサプリメントである。・・・むだかな?

夏子秘話  投稿者: 尾瀬あきら  投稿日: 3月 1日(火)01時25分42秒
連載エッセイ 夏子つれづれ その4 アルプスの少女夏子
昔々の映画で「我が青春に悔いなし」という作品がある。
巨匠 黒澤明監督の初期作品だ。これを観ている人は黒澤ファンか古典映画愛好者ぐらいだろう。堅苦しいこの映画で輝いているシーンは、それまでピアノしか弾いたことのないような細い手で、主人公 原節子が亡くなった旦那さんにかわって田んぼを耕すところだ。
「夏子の酒」で、夏子が田んぼを耕すシーンを描く時に真っ先に思い出したのがこの映画だった。始めは頼りなくよろけながら鍬をふるっていた原さんが、やがてやかんで水をラッパのみするまで逞しくなってゆくそのシーンは、そのまま夏子にさせた(夏子は水筒だが)。小川で泥にまみれた手を洗うと、そこにピアノを弾く手がオーバーラップする。
これもまた頂いた(夏子は原稿を書いている手)。
このように優れた作家は(えへん)、影響をうけたもの、記憶しているものすべてがアイデアの源泉になる。これをかっこよくいうと「インスパイヤー」、悪くいうと「パクリ」という。
私が言うと言い訳がましいが、かの黒澤明監督も「映画を作るっていうのは記憶だね」と、おっしゃっている。スピルバーグも映画を作る前には好きな名作を何本か見るという。
私など、このパクリ・・・いやインスパイヤーの名手といってもよい。
もうひとつ暴露しよう。ラストちかく、夏子は杜氏の造った酒に満足できず、かといってそのことを誰にも言えず、ジレンマに陥って雪の夜、外を徘徊するシーンがある。そこは、テレビアニメの傑作「アルプスの少女ハイジ」から来ている。ハイジもまた、異郷の地で懐かしいアルムの山に帰りたい気持がこじれて夢遊病になってしまうのだ。
このシーンが私はとても好きだ。10時間以上の連続アニメだが、観ることをおすすめする。私は3度は観ている。
上手にパクる・・・いやインスパイヤーすることが出来たときは自慢したいぐらいだ。
今夜もまたアイデアにつまってこのエッセイを書いているが、書き終わったら
また過去の記憶を掘り起こしてなんとかアイデアをでっちあげ・・・いや名シーンをものにしよう。しかしハイジは泣けるなあ。

夏子秘話  投稿者: 尾瀬あきら  投稿日: 2月 2日(水)23時13分8秒
連載エッセイ 夏子つれづれ その3 シーラカンス語録
「あんたはな、わしが今まで逢った女性の中で3番目の美人ぢゃ。」
男性からこう言われて嬉しくない女性はいないだろう。一番美人だと言われれば
お世辞くさいが、3番目は微妙にリアルだ。
私が尊敬してやまない元広島局鑑定官 お酒と女性が大好きな上原浩先生のお言葉だ。
この言葉のあと必ず「嘘じゃないよ、わしは嘘は言わん」と付け加える。うまい!
私は先生のそばで飲んでいていつもそのほめ言葉のうまさにほれぼれする。けれど酒の鑑評はこれまたうっとりするぐらいの厳しさだ。「ええ米使って白くして、ボロ酒造るヤツは国賊ぢゃ。」戦前から今日に至るまで酒にかかわってもう80を越える長老だがその口はとどまることを知らない。とにかく酒にかんすることの質問ならなんでもくわしく答えてくれる。「夏子の酒」を描く上でも、いっぱい助けていただいた。その人柄に惹かれ、私は漫画の中で「上田久」の名で登場させている。ポケットにはいつも分厚い手帳があって、科学者らしい細かなデータをつけている。駅に降り立った時に「意外と湿度が高いの」と言う。温度ではなく湿度だ。そしてとりだしたのがなんと湿度計!酒造りには温度だけでなく湿度も影響する。しかし普段から湿度計を持ち歩いているのはこの人だけだろう。
けれど酒造りには厳しいだけでなく、その努力をしっかり認めているひとでもある。
利き酒のあと蔵元から意見を求められ「この酒はええ香りを出すのに苦労したな。それは認めるが、ううむ、麹でちいっと失敗しとるな・・」と、厳しい意見の前にほめることを忘れないのだ。
「先生はうちの蔵に来られても、いつも蔵の中に入ってくれません」ある蔵元がそう言うと「あんたのとこは見なくてもええ。見るのはもう少しレベルの低い蔵ぢゃ。あまり低すぎる蔵も見んがな。」こういう言葉がさらりと出てくるのだ。
長年、酒の世界で鍛えた批評のテクニックがそのまま女性のほめ言葉に生かされているような気がする。「先生大好き!」という女性ファンも多い。もっとも「3番目の美人ぢゃ」というお言葉は何回か聞いたので「3番目」の女性が各地に何人もいるようだ(笑)
先生の指導で救われた蔵は数知れず、今も現役で各地を飛び回っている。
影で私たちは業界のシーラカンスと呼んでいるが、いつまでも元気で、重鎮として
頑張っていただきたいおじいちゃんである。

夏子秘話  投稿者: 尾瀬あきら  投稿日: 1月20日(木)16時27分39秒
連載(多分)エッセイ 夏子つれづれ その2 バカは夏子じゃなかった
この連載エッセイも、早いもので回を重ねてもう・・・あ、まだ2回目か。
人知れず連載を始めた理由は、そのほうがテキトーに書けると思ったからだが
大反響を得て(中反響ぐらい?)プレッシャーを感じている。
酒をのんでる場合じゃない。
さて、HOROYOIさんからの質問「連載開始時にどれくらいストーリーが決まっていたか」にお答えしたい。
夏子が酒を造って終えるというのははじめから決まっていたが(当たり前だ)
連載開始時に考えていたのは夏子が東京を離れて田舎に帰るところまでだった。
つまり第一巻分だが、ここまで描き終えたらなんだかやり終えた気がしてしまった。
ラストシーンで夏子が「和醸良酒・・いい言葉ね、兄さん」とつぶやく大ゴマを描いて
ほっとしてしまった。
気がつくと次の締め切りが近づいていた。「ああそうか、米作んなきゃいけないんだ」と
当たり前のことに気づいた。しかも有機農業で作るなんて書いた手前、その勉強もしなくてはいけない。
描きながら勉強していくという綱渡りは長期連載の常である。(開き直ってどーする)
勉強不足がたたって、夏子が苗をつくるあたりまではいいかげんだ。
私は夏子に水の張った苗床に種まきをさせてしまった。「あれじゃ種籾が死ぬよ」と読者から指摘されるというお粗末さだ。
単行本になる時けっこう書き直したがモーニング誌に掲載された時のものを
今もお持ちの方は即刻捨てていただきたい(恥)
苗が出来てきているのに、それを植える田んぼがないことに夏子は気付き、探し回る
シーンがあるが、お百姓さんに「のんきな話だねえ」とからかわれる。
「あたしがバカだったんです」と夏子は恥じるが、ほんとは作者がバカだったのだ。
夏子ゴメン。
今回は恥ばかりさらしてしまったが、これをもって尾瀬あきらを軽蔑しないよう努力していただきたい。

夏子秘話  投稿者: 尾瀬あきら  投稿日: 1月12日(水)15時40分51秒
連載(ほんとか?)エッセイ 夏子つれづれ その1 連載漫画「飲も!」
その日、モーニング編集者M君と私は1枚の紙を前にうなっていた。そこには新連載のタイトルの候補が30ぐらい書いてあった。もうすでにお話の骨格は出来つつあったし、第一話の絵を描いている真っ最中だったが、タイトルだけは決まらず、新人編集のM君に命じてタイトルのアイデアを出させた。けれどどれもこれもさえないものばかりでうなるしかなかった。「陽の酒宴」だの「吟醸の女」だの(演歌か)、いっそのこと「飲も!」ってのはどうかね?とか、なかばやけくそになってきたが、その中でひとつ選ぶとしたら、という消極的なアイデアが「夏子の酒」だった。夏子という主人公のなまえも「仮」だったのだが、仮でつきあっているうちに、他が考えられなくなっていた。吟子だの沙織だのどれもしっくり来なくなっていた。
その時は気づかなかったが三島由紀夫の小説に「夏子の冒険」というのがあって、
私は主人公のけなげで、感性に忠実な性格が好きだった。多分無意識に思い出していたのかも知れない。けれどしばらくは「あ〜あ、夏子の酒かよ。つまんねえタイトルだなあ」とくよくよしていた私だった。この作品はまかり間違えれば主人公吟子の連載漫画「飲も!」になっていたかもしれない。1988年の春のことだった。



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